大森明子さんインタビュー
入学時はまったく写真の経験がなかったという大森明子さん。いま、スタジオでフォトグラファーの仕事をして、7年がたとうとしています。最初に写真に興味を持ったきっかけ、学生時代に撮っていたテーマや挑戦したこと、学校で学んだことが現在の仕事にどうつながっているかについて、おたずねしました。
―写真に興味を持ち始めたきっかけは何ですか?
美大卒の母の影響で、高校時代は美術学校を目指す予備校に通っていました。そこでのデッサンなどに飽きてしまった頃、高校の先生から写真の専門学校という進路もあると薦められたんです。その時は、まだ全然写真も撮っていなかったのですが。その先生から綜合写専を紹介されて見学にいき、面接を受けました。その時に写真に興味がわいてきて、進学を決めました。
テーマは「おじさん」と「化粧する女」
―入学後、どんなことから学んでいったのですか?
カメラも持っていなかったので、父のカメラを譲り受けました。当時はまだフィルムだったので暗室用具などは、新しく買いそろえました。
写真のことは全然わからなかったのですが、ただ何か「モノ」をつくりたいな、という意志だけはありました。
入学当初は、街でスナップショットを撮っていました。そのうち街を歩いている「おじさん」に興味がでてきて、「おじさん」に声をかけてポートレイトを撮らせてもらうようになりました。その写真を合評(合評演習 年2〜3回学内外から写真家や評論家を招いて行なわれる講評会)に出したり、修了制作(進級のための作品の審査)にも出しました。
他に大型カメラや暗室やデジタル系の実習もあったのですが、初心者の私にとってはすべてが新鮮でした。そして、同級生にはずいぶん助けてもらいました。締め切りの朝ギリギリまで現像して、プリントしてというような、そんな作業の大変さも含めて楽しかったです。それから写真論や写真史、映画や心理学の講義まであって、授業の内容が充実していたのは驚きでした。
2年生になってからは、テーマを決めてそれを一年間撮るというスタイルの渡辺兼人先生のクラスを選択しました。写真を始めて日の浅い私にはこのクラスがいいかなと思ったんです。
今度は女性を撮ってみようと思い、デパートの化粧品売り場の女性をテーマに決めました。化粧する女性、化粧することで外見だけでなく気持ちも変わって行く女性に興味があって、そんな女性の変化を表現できたらと思って。
この作品はクラス展という形で学外のギャラリーでも発表しました。私の初めての展覧会です。
2年生になってようやく実習にもついていけるようになり、そこで習ったことを自分の作品に活かすことができるようになった気がします。